日本人の平均身長・平均寿命は、古代からどのような変遷をたどってきたのでしょうか?
今回は、古代・飛鳥時代の平均身長・平均寿命と、現代人との違いについてご紹介していきます。
日本人の平均身長の移り変わり
縄文時代の男性の平均身長は158㎝、女性は149㎝といわれています。
その後、弥生時代・古墳時代・飛鳥時代に急に伸びて男性163㎝、女性152㎝となります。
この時代に急激に身長が伸びた理由はいくつかあるとされていますが、一番大きい理由としては大陸から渡来人が日本にやってきたことがあげられています。
元来の日本人よりはるかに大きい渡来人の血が入ったことによって、大きく身長が伸びたと考えられているのです。
また当時の食生活が、稲作によって米を安定的に食べるようになり、魚や獣肉も食されていたことから、結果として平均身長が伸びたと推測されます。
平安時代の初期の男性の平均身長は161㎝でしたが、平安末期には157㎝に、更に江戸時代には男性155㎝となって、日本史上最も低い値となっています。
この理由として、平安末期~江戸時代には宗教的な影響もあって、獣肉があまり食されておらず、動物性たんぱく質の欠乏から骨の成長が停滞したとされています。
日本人の平均寿命の移り変わり
旧石器時代の日本人の平均寿命は、なんと15歳と推定されています。
これは人骨の死亡推定年齢から平均寿命を割り出したもので、不確かな統計ではありますが、野生の動物を狩って食べるという生活では長く生きるのが難しかったと思われます。
その後「調理」をするようになった縄文時代・弥生時代には平均寿命は20歳台となりました。
飛鳥時代・奈良時代には、法律ができて貧富の差は開いた時期ではありますが、寿命は30歳前後になったとみられています。
飛鳥時代の貴族は豪華な食事をしていましたが、一般庶民は栄養不足で、栄養失調によって亡くなる人も多かったとされています。
また、貴族の食事が豪華だったことで、現代でいう生活習慣病になってしまったケースも多くみられました。
その後の日本人の平均寿命は以下のようになっています。
平安時代・30歳前後
鎌倉時代・24歳
室町時代・15歳
安土桃山時代・30代
江戸時代・32~44歳
明治、大正時代・44歳
2018年・男性81.9歳、女性87.26歳
かつて「人生50年」という言葉がありましたが、実際に平均寿命が50歳を超えたのは、太平洋戦争後の1950年以降であることもわかっています。
鎌倉・室町時代に平均寿命が下がったのは、天候が不順だったため農作物がほとんど育たなかったことから飢餓の時代だった、争いが絶えなかったなど様々な理由があげられています。
そして、平均寿命で大きなポイントとなるのが、乳児死亡率です。
長生きする人が何人もいたとしても、乳児の死亡率が高ければ平均寿命は短くなってしまうのです。
江戸時代の平均寿命が30代というのは、恵まれた環境の将軍家でも生まれた子供の半分は5歳までに死亡している事が理由です。
例えば12代将軍である徳川家慶は、27人の子供に恵まれましたが、成人したのはただ一人でした。
また、出産で亡くなる女性、そして死産も多く、疱瘡や麻疹などの伝染病が流行したことも平均寿命が低い原因とされています。