飛鳥の地に都が置かれた飛鳥時代には、一体どんな食事がとられていたのでしょう?
今回は、現代でも簡単に再現できる飛鳥時代の料理をご紹介します。
「蘇」は飛鳥時代のお菓子?
飛鳥時代以前の食事は基本的には自給自足で、獣肉・魚介類・植物が食べられていました。
そして牛乳を飲む習慣は、飛鳥時代には支配階級に広まっていたと伝えられています。
牛乳が庶民的な飲料とされたのは近代になってからですが、古代から牛乳を使った料理が作られており、その中で最も有名なのが「蘇(そ)」です。
これは牛乳を長時間煮詰めて固めた料理で、主に貴族が食していたとされています。
牛乳(成分無調整)に塩を少々入れて、弱火で焦げないように注意しながらかき混ぜるだけの料理ですので、現在でも簡単に古代の味を再現することができます。
20分ほど煮て固形になったらラップで形を整えて冷やして出来上がり、これがかの有名な小野妹子も好んで食べていたとされる「蘇」です。
「飛鳥鍋」は貴族の料理
飛鳥鍋は牛乳ベースの鍋で、唐から来た渡来人の僧が、ヤギの乳で鍋を作ったのが始まりと伝えられています。
具材は鶏肉・ネギ・白菜・ジャガイモなど、現在でも奈良県飛鳥や橿原地方の郷土料理となっています。
また、現代風にアレンジした飛鳥鍋を出す料理店もあり、ヘルシーであっさりした味が人気を呼んでいます。
貴族の中でも階級によって食べるものも違っており、上級の貴族は鯛や鮑(あわび)、鮎などの魚料理、そして古代のチーズとも呼ばれる蘇など栄養満点の食事をとっていたと思われます。
一説によると、貴族の中には栄養の摂りすぎで成人病になるものもいたとされます。
食器も、金属製のものや漆器などの高級品が使われており、またこの時代の貴族は一日二食だったと伝えられています。
飛鳥時代の庶民の食事
この時代の上級役人は、貴族の食事に比べるとやや質素ですが、魚の煮つけや酢の物・野菜の塩漬けなどが副菜として食されていました。
主食は玄米で、にごり酒や調味料としての塩が使われており、また箸ではなく木製のスプーンが使われていました。
貴族や上級役人の食事と比べると、飛鳥時代の庶民の食事は質素なものでした。
主に玄米ご飯と塩、わかめ等の海藻の汁物、そして青菜や山菜を茹でたもので、貴族と比べると食事内容は大きく違っていました。
いわゆる「一汁一菜」で、カロリーもかなり低く、栄養も不足しています。
仏教の影響で動物の肉を食べることが禁止されていた時期もあり、一般庶民の中には今で言う栄養失調で倒れる人も少なくなかったと伝えられています。
現在は飽食の時代で、飛鳥時代に食べられていたものがヘルシー食材として注目を集めていますが、当時の人々にとっては命に関わる切実な問題だったと推測されます。