新元号「令和」の語源が万葉集からきた、ということで飛鳥・奈良時代、いわゆる万葉時代に注目が集まってきました。
今回は現代人を魅了する飛鳥時代の魅力について、わかりやすくご紹介していきます。
万葉集は日本人の心のふるさと
万葉集は日本に現存する歌集の中で最も古いもので、正確な成立時期は不明ですが何度かの編纂を経て、奈良時代の末期には現在の形になったとされています。
万葉集の歌の大半はおよそ舒明天皇即位(629年)から759年の間の一世紀半の間に作られたもので、全20巻、およそ4500首の和歌が収められています。
そして一番大きな特徴としては、天皇から一般庶民や農民まで、貴賤を問わずに和歌が選ばれている点です。
日本におけるこの時代は、天皇と中心とした貴族と庶民の暮らしには天と地ほどの差がありました。
しかし、和歌の世界では身分は問わないという万葉集の姿勢は、世界的に見ても特殊なものとされています。
そのため万葉集に収められた歌は、男性的でおおらかな歌から、女性的なある意味女々しい歌まで、様々なものが見られます。
そして一番の魅力は、万葉集の歌が「実写的」つまり思ったままそして見たまま詠まれた歌だということです。
後に編纂された古今和歌集などのような観念的な歌よりも、万葉集が現代人の心をつかむのは、この「ストレートな感情の表現」なのではないでしょうか。
飛鳥地方に見られる日本の原風景
現在の奈良県明日香村は、1400年前の飛鳥時代の歴史や文化を伝える「屋根のない博物館」といわれています。
また、飛鳥時代の宮や史跡が多く発掘されていることから「日本の心のふるさと」とも紹介されています。
明日香村は日本で唯一、全域が古都保存法対象地域の自治体であり、明日香村特別措置法によって村全体が歴史的風土の保存対象になっています。
明日香村の魅力として数々の名所・旧跡があげられますが、それ以上に、現在でも残るおおらかな大自然が日本人の原風景として愛されています。
例えば、飛鳥川に大きめの石を渡して橋として使った「飛び石」、これは万葉集にも数多く詠まれた場所で、現在でも当時のまま残っています。
この飛鳥川は現在でも蛍が見られるほど水がきれいで、遠い飛鳥の時代の日本がそのまま現代にタイムスリップしたような感覚になる貴重な場所です。
飛鳥時代の魅力
飛鳥時代は、日本で初めて律令制が導入され、また仏教が入ってきたことによって仏教文化が栄えた時代です。
法隆寺・東大寺などの文化的遺産も大きな魅力ではありますが、それ以上に「古き良き日本の田舎」を感じることができるところにあるのではないでしょうか。
現代はデジタル時代、飛鳥時代とは真逆です。
だからこそ、万葉の時代を感じさせるおおらかな大自然は、現代人を心身ともに癒すことができるのではないでしょうか。
新元号「令和」が万葉集から採られたことは、日本人が原点回帰して大らかな気持ちになるように、という希望が込められているとも考えられるのです。